■治療に対する考え
一昔前の歯科医院の役割は、虫歯を削って詰めてを繰り返すことでした。その結果は、いわず
と知れた総入れ歯です。
こうおっしゃる患者さんがいらっしゃいます。「年をとったら歯ぐきがやせて、いずれは総入れ歯
ですね」と。ある意味正解です。
【日本の現状】
そのまま放っておけば、また、削って詰める治療を繰り返せばそうなってしまいます。虫歯の治
療は、厳密には治療とはいえないかもしれません。虫歯で穴の歯が元にもどるわけではない
からです。虫歯の穴には代替の材料を入れます。時には神経の治療を行う必要もあります。治
療は100%うまくいくとは限りませんし、統計的には数年毎に虫歯は繰り返し大きくなっていき
ます。昔から比べれば材料の精度なども上がっているだけで、何十年と基本的なことは変わら
ず、削ったところに何かを詰めているのが虫歯の治療ということになります。
また、骨を溶かす歯周病も進行しすぎると、いくら治療したところで元の位置まで骨は戻っては
くれなくなってしまいます。歯科で扱う、2大疾病は、歯周病と虫歯です。その2つとも治療する
時点で基本的には元には戻せないため手遅れということになります。
【予防】
そこで、疾病にかかる前に予防してしまおうというのが、予防歯科です。特に虫歯に関しては
かなりの予防効果が期待できます。どちらの予防法にも共通して言えることは、患者さんだけ
のケア(例えば歯磨きなど)だけでは不十分な場合が多く、歯科医院で行うメインテナンスが必
要であるということです。
【インプラント】
これら予防とはある意味対極にある治療法で、当医院が力を入れている治療法がインプラント
(人工の歯根)です。予防を薦めながら、インプラントを薦める。このことに矛盾を感じられる患
者さんもいらっしゃるかもしれません。現在、歯や歯ぐきが健康であり、当医院でメインテナンス
を受けていただける患者さんに関しては、事故などで歯を失わない限り自分の歯で一生過ごし
ていただけるかも知れません。しかし、残念ながら既に歯や歯ぐきの状態の悪い方や、歯を失
っている方に、本当の意味で噛む能力を回復できる治療法は、現在のところインプラント以外
にありません。歯のない部分に噛む能力を再生させることは、残っている歯の健康を守ること
にもつながります。家で例えれば、シロアリに食われた柱をそのままにしていれば現在なんと
もない柱も傾いてしまうのに似ています。このことが、当医院がインプラントに力を入れている
理由です。ある意味苦肉の策ともいえます。
とあるインプラントの大家の先生は、こうおっしゃいました、「自分の歯は何億円出しても買うこ
とはできない」。この言葉を思い返しながら、日々診療にあたっています。
■衛生について
自分やスタッフがされて嫌な衛生状態にはいたしません